文章にしてもいいのだろうか、
それとも、心の中だけで、
もしくは、近い友人知人の間だけで語っていけばいいのだろうか。
そんな迷いがずーっとあった。

でも、やっぱり文章として形に残そうと思います。

３月１１日の東日本大震災（当初は、東北沖大地震って名前だった。）
信じられないような強烈な映像が、常にテレビから流れ続ける。

「ケイさん！何か私達に出来ないですか！？物資を送るとか何か！
　もういても立ってもいられないんです！！」

電話をくれたのが、clear designのまことちゃん。

「そーだよね！でも、今私達に何が出来る？現地に行っても何の術も持たない私達に。物資を送るにも被災地までトラックが行けないらしいし。
まずは、冷静になってちょっと考えてみようか。」

この電話での会話から始まったんだよね。

震災直後って、みんな自分に何が出来るかって考えて、
そして、あまりの自分の非力さに落ち込むというか、
大したことも出来ない自分を思い知らされた人も多いと思う。

何か、特別なことをしなきゃいけないと言う事はないんだろうけど、
誰もが、被災地の方達の力になりたいって思ったよね。

そして、

「今、むやみに物資を送り込むのは止めよう。
でも、力になりたいっていう気持ちは伝えたいよね。
まずは、そんな気持ちを届けようよ。
もう少し時間をおいて様子を見ながら、
物資なり義援金なりは、ちゃんと届けてくれる流通機関を利用すればいいし、
ネットでも義援金などは受け付けているし。」

電話で、まことちゃんにメッセージを送ろうって話を持ちかけたの。

そんな話から、まことちゃんがメッセージカードを作ってくれて、
お互いに色んな人たちにメッセージを募ろうということになったんだ。

郡山市に住むUPPER LIFE PARTY主催者のなこちゃんにこの話を伝えたら、
とても喜んでくれて、８月に郡山市で開催するPARTYにメッセージカードを展示してもいいって言ってくれたの。

実は、正直に言うと、この頃の私はカードを郵送して展示してもらうつもりでいたのね。
福島や他の被災地の方達に、みんなからの気持ちを見てもらえればいいんだってだけ思ってた。

そしたら、

福島原発で爆発が起こっていたというニュース。

始めは、事の大きさが今いち分からなくて、
「爆発？？それってどーいうこと？」って事態を把握できないというか。

そして、徐々に事の重大さが分かってくるにつれて、
倒壊した建物や、津波の被害にあわれた方達の救出作業だけかと思っていたこの震災が、
原子力、放射能、放射線、被曝、と、子どもの頃にニュースで見ていたチェルノブイリの事故が、日本で、しかも、なこちゃんが住んでいる地域で起きている。

そして、福島のニュースを見るたび、
ツイッターなどでの書き込みを見るたび、
福島の人たちを応援する！応援する！と言葉だけだった自分に気がついた気がした。
福島の風評被害の酷さ、信憑性のない情報の垂れ流し、
それを肌で感じている福島の人たちの気持ち。
あまりに辛すぎる。

私は、どうしても賛同してくれた皆さんからのメッセージを手渡しで渡したくなった。
手渡しするのもそうだけど、
なこちゃんや福島に住んでいる若い方達の目を見て、直に声を聞いて、
被災地福島を肌で感じて、それをまた北海道に帰って伝えたくなったの。
直接行くことで、「大丈夫だよ。」とは言えないけれど、
もしかしたら、少しだけでも安心してくれるのではないか。

そうしないのであれば、今回のメッセージカード活動は止めた方がいいと思った。
自分だけ安全な所（福島よりはって意味で）にいて、頑張って！なんて言えない。
ニュースなんか見ていたって、政府からの発表を見たって、
いったい何を信じていいのか分からない状況だったでしょ？
今もそうだけど。

福島に行くと決めてから、家族や数人の人たちに相談してみた。
皆さん色んな助言をくれた。
心配してくれたけど、私を応援するって言ってくれた友人や、
行かないほうが良いとか、行ってどうするの？とか、
偽善だとか、売名行為と思われるとか、
本当に被災地の人はそれを求めているのかとか、色々色々色々・・・・
ものすごいショックな言葉もあった。

ツアーミュージシャンの方達は早くも東北ツアーを組んでいる方達が多くて、
「自分達に出来ることは〝歌う〟ことしか出来ないから行くだけだよ。
　後は四の五の考えてない！」って皆さん声をそろえて言ってた。
吹っ切れてたなー。

実際、自分でも、放射能の不安もあるしイベントを中止した方が良いのではと
伝えるのが大人なのか？とか、
先方は、メッセージを受け取るのも迷惑だったらどうしようとか、
私が郡山に行くと言ってしまったから、
イベントも止めるに止められなくなっているのではないかとか、
そしたら私は加害者だなとか、
悶々と考えると、ネガティブな事しか頭に浮かばずにキツイ状態が続いたのも確か。

でもやっぱり、北海道や他の地域でも心から心配している人たちはたくさんいるし、頑張って欲しい、少しでも気持ちを明るく出来るのであれば
協力したいと思ってくれている人たちもいるってことを知らせたかった。

そして、イベント当日。
郡山市はとっても良いお天気。
空がとっても青くて澄み切っていて、北海道となんら変わらない。
「こんなにキレイな空が、放射能で汚染されているのか。」って複雑な気持ちに。

見えないもの、臭いも色も無いものって怖い。
心底思った。

そして、皆さんから預かっていたメッセージカードを会場に持って行ったの。
スタッフの方達に挨拶して、カードを袋から出して広げた時、
正直、本当に手が震えた。声も上ずっていたと思う。
スタッフの方達の顔を、正面から見るのが怖かった。

そしたら、

「わぁ！こんなにたくさん！」　「嬉しい！」　｢かわいい！」
そんな風に言ってくれた。
私、泣くの我慢したよ。
何の涙をだったのか。
皆の声が明るくて元気だった安心感、
メッセージの気持ちがちゃんと届いたっていう嬉しさ、色々だったんだろうなー。

「遠くにいる見ず知らずの人間に、
　　　　こんなにたくさんメッセージを書いてくれるなんて。」って。
「泣きそうでちゃんと見られない。」って。

「北海道でも、他の地域でも、本当にみんなが福島のこと心配してるんだよ。」って言ったら、
「え？？そーなの？」って言われた。それも、１人２人じゃない。

伝わってないんだ。

私達の気持ち、もし来ていなければ伝わっていなかったんだって確信した。

それから、スタッフの方達やお客さんなんかと今の現状の話や
みんなや周りの様子を聞くことが出来た。

とってもショックだった。

２０代の女の子達の気持ちや現状って、
なかなかニュースや情報として流れて来なかったなと、
その時初めて気付かされた。

福島で結婚出産する事への複雑な気持ち。
若者達の不安な気持ちは、時間が過ぎると共に、現実から目をそらすことや
大丈夫だと信じ込むこと、情報を拒否することへとつながっていっている。

「津波や地震で家族や住む家も失った方達は本当に大変だと思うし辛いと思う。
でも、申し訳ないけれど、私達も被災者なのに支援してもらっているという実感は無い。（郡山市は福島県の中では放射線量が低いほうだったから。）
福島は、みんな他の被災地と別物だと思ってるんじゃないだろうか。」そう言ってくる子もいた。

「福島の女ってだけで、結婚出来ないのではないか。」
「私達は子どもを産むのが怖いし、このままでは福島では産めないでしょーはっきり言って。」
そんな風に考えている子も少なくない。

「でも、だからって、どうしたらいいのか分からない。」
「仕事、家族、住まい。色んなしがらみがあって福島を出られない。」って。

みんな、色んな意味での〝きっかけ〟を求めているような気がした。

「ケイさん。ここにいるみんな楽しそうでしょ？あれ、うわべだけですから。」って
言われて、もう完全に言葉を失ってしまった。

これから明るい未来に向かっていくであろう、無限の可能性を持つ若者達の
心の奥の闇。
これは、言葉にたとえることは出来ない。
目の奥の光りが一瞬消えるというか、
今までケラケラ明るくしていたのに、
一瞬、表情がなんとも言えないものに変わるんだよ。
私自身、何と言っていいのか分からなくなるというか、

一人ひとり抱きしめたくなった。本当に思った。
もう、そーいうコミュニケーション方法でしかダメかもしれないって。
肌と肌、お互いの空気と空気を触れ合わせて、心を感じてもらう。
これしかないのかもって。
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心もまた被爆している。
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今日、UPPER LIFE PARTYで知り合った宍戸チカちゃんが恵庭のお店に来てくれた。
チカちゃんは、福島県郡山市コミュニティFM　『KOCOラジ』のパーソナリティ。
別活動の仕事で北海道入りしているのもあるんだけど、
時間を作っては、札幌のFMアップルにゲスト出演して福島の現状を話したり、
福島原発の勉強会に行ったり、講演会で話をしたり、
北海道の被災者支援団体を取材したり、
福島から北海道へ避難している家族を取材したりと精力的に活動しているの。

彼女から聞いた福島の現状、
８月のイベント時よりも、人々の気持ちは悪化しているということ、
北海道が、他の都道府県に比べて支援活動に熱心であること、
しかしながら、その支援活動も被災地には情報として知られていないこと。
行政の矛盾、様々な人間の思惑。
本当にガッカリさせられる話が多い。

でも、だからって落ち込んでいたり、下を向いたり、
後ろを向いてばかりはいられない。
これから私達はまだまだ生きていくし、
この背負ってしまったとてつもない爆弾と向き合っていくしかないんだよ。
辛い現実、目に見えない不安、
これら現実を受け止めるってとっても精神的に辛い。
だからこそ、向き合うには、良くも悪くも正しい情報が必要。
それ、本気でちゃんとやってほしいよね。頼むよ行政にマスコミ。

チカちゃんは、
「もう自分達で動いて情報を掴むしかないですよ。」って言い切った。
日本のジャーナリズム精神を信じるしかないのか。
それとも、信ずるものは己のみ。なのか。

今回の震災で、誰もが感じている悲しみと怒りを、
行動力、決断力、発言力に変換出来たら
物凄く前に前に物事が進んでいくような気がするのだけど。

どうでしょう。
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狭い島国日本。
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最後に、地震や津波、原発爆発で、住まいや家族を亡くされた方達に、
心からお悔やみ申し上げます。

私には、倒壊された建物を処理する技術も能力も無く、
瓦礫や汚泥の撤去作業に向かうことも出来ず、
己の非力を痛感する日々でした。

でも、これからが、きっと私や同じように復旧作業に参加出来ずに苦しんでいた方達の出番ではないかと信じています。

私には私の出来ることがあるはずと信じています。

今回の活動は、福島県郡山市になこちゃんという知人がいたことで、
私の中ではとても大きな力になりました。
福島県に足を踏み入れた時から、
原発事故は私の中でとても身近な問題になりました。
メッセージを贈る、これは小さな活動だったかもしれないですが、
人々の気持ちほど大きなものはないと思っています。

その気持ちが、人々を動かす原動力になるはずだと信じているから。